SPECIAL INTERVIEW

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「所有」から「利用」の時代へ。
車など、かつては所有するのが当たり前だった「モノ」。
それが、今はカーシェアリングなど、
より人々のニーズに合わせた形で利用される時代になりました。

同じように、住まいのあり方もどんどん新しくなっています。
1991年、大正時代から続いてきた借地法が、借地借家法(新・借地法)に改正されました。
これにより、「定期借地権スキーム」を用いたマンションが世の中に供給されるようになります。

それから四半世紀。
定期借地権スキームを利用して供給されたマンションは、
26,000戸(※)を超えました。
今回は、この知っているようで知らない定期借地権スキームのことを、専門家である大学教授に教えていただきます。

知識の幅が広がれば、そのまま人生の選択肢が増えます。そこには、何か新しい発見があるかもしれません。
※発売開始物件・総戸数合計 リボンブレインズ調べ

横浜市立大学 都市社会文化研究科 教授。
博士(学術)/博士(工学)/博士(不動産学)
筑波大学の都市計画専攻を卒業後、不動産会社勤務を経て、
英国ケンブリッジ大学客員研究員等を歴任。
2015年4月より現職。専門は不動産学、不動産マネジメント論。
魅力的な住まいや、街のマネジメント手法の確立を研究。

日本人と土地

1991年に借地借家法で創設された、定期借地権スキーム。
日本では、まだあまり馴染みがありませんよね。
まずは、歴史的背景からお話させていただきます。

江戸時代の末期にさかのぼると、
実は都心部の約87%は借地だったことが研究で分かっています。
もともと、借地は日本人にとって、
ごく身近な仕組みだったわけですね。

明治時代に入ってもこの状態は続きますが、
大正時代に借地法が制定され、昭和初期に内容が改正されました。
いずれも、国民生活の安定を目的としたものでしたが、
現代から見れば少し実用的でない面もありました。

それゆえ、昭和に高度成長期を迎えたこともあって、
日本の住宅市場は一気に土地を所有するスタイルへの
比重を強めていきます。

「借地借家法」の登場

しかし、土地を所有するスタイルのみに供給に頼った住宅業界は、
バブル期に限界を迎えます。

その後、制定されたのが「借地借家法」です。
最大の特徴は、「借地の契約期間をきっちりと定めること」(最低でも50年以上)。
貸し手と借り手が、前もって「エンディング」を決めたうえで、
その間、Win-Winの関係を築く。

今の世の中、「期間を定めて必要なモノを利用する」なんて、
当たり前のことのように思えますが、
その「当たり前」を、不動産の世界に持ち込んだのが「定期借地権」です。

「モノ」の価値観の変化

テクノロジーの発達によって、時代の変化はますます速くなっています。
それによって、「モノ」への価値観の変化もしてきていますね。
「終わり」をどうするのか。

例えば、カーシェアリングもそう。
確かに、車を所有していれば便利。でも、いつも使う?いつまで使う?
形あるものは、いつか壊れる。古くなれば、メンテナンスも必要。廃棄するにも、お金は掛かる。
所有欲を満たすのもいいけれど、そのためのお金があれば、もっと他のことが出来るんじゃない?

そういった発想から生まれたのが、カーシェアリングなどの考え方。
同じことは、私たちの研究分野「マンション」でも考えられます。

マンションにおけるエンディングとはマンションにおけるエンディングとは

皆さんは、マンションの「エンディング」について、考えたことはありますか?
マンションでは一般に、管理組合を通して、
常に住民の皆さんが合意形成しながら、建物の今後を決めていきます。

ある住民は、そろそろ全員で大きな投資をして、マンションを建て替えたい。
ある住民は、まだまだ修理を続けて建物を使っていきたい。
建物が古くなるほど、日々の修繕費もかさんでいく。
でも、建替えにはもっと大きなお金が必要。
どこが落とし所か?
みんなで議論しながら、エンディングを模索していく必要があります。

一方、定期借地権付きマンションは、
あらかじめエンディングが決まっているのが、最大の特徴。
もちろん、日々の予算管理などは、管理組合で合意形成をしながら進めていく。
でも、その予算(修繕積立金や解体積立金)も
エンディングから逆算して見立てられるのが大きいですね。

これからの暮らし

借地借家法が制定されてから、四半世紀。
最近は生活者のニーズに合わせて、期間が70年の「長期物」など、
商品にも多様化が見られるようになりました。
ただ、共通する大きなポイントは、
「初期費用を合理的に抑えられること(※)」はもちろん、
やはり「あらかじめエンディングが決まっていること」。

最近になって、ようやく不動産の分野においても、
「プロセス・プランニング」へ目を向けられるようになってきました。
「いかに造るか」だけでなく、
「どういうエンディングにしたいか」から逆算して考える。

これから住まいを選ばれる皆さまには、
世の中に色々な制度が整備されていることを知っていただきたいです。
是非、それを大いに活用していただき、
願わくは、「自分にとって本当に大切なもの」を手にしてほしいですね。
※権利金や保証金、地代、解体準備金や解体積立金費用は発生します。

※1:横浜市立大学 金沢八景キャンパスにて撮影